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2013年2月 7日 (木)

2011年 チベット カイラストレッキング 6日目 マナサルワール湖~カイラス/チュク・ゴンパ

2011年6月1日。

6日目。夜中に強い風とテントに打ち付ける雪の音で目が覚めた。チベットに来て初めての荒天だ。

嵐は朝方まで続き、明るくなった頃急に静かになった。波音も聞こえない。外した腕時計には温度計も付いていて、気温はテントの中でマイナス5度だった。

午前7時。外ではスタッフ達が朝食の準備を始めている。そろそろ起き出さなくては。シュラフを出るのが流石に辛くなってきた。

ふとカサカサ、と物音に気付いた。見ると入り口の辺りに小さな小動物がちょこちょこと動いているではないか。

Kailas2011small227Kailas2011small231靴と比べると10cmもないだろうか。小さなネズミが辺りを嗅ぎまわっていた。
よくネパールヒマラヤではバッグに入り込み食い荒らされるというのを聞いたことがあるのだが、ここは標高4500mのチベット。そんなネズミはいないだろうし、見ればハムスターのようなかわいい動物だ。

なんでこんな所に出てくるのだろうとそっと観察していたら、靴の脇に小さな穴が開いていた。どうやら丁度ネズミの住処の出入り口にテントを建てたようだ。

警戒心が強いようで、僕の立てたちょっとした物音ですぐに隠れてそれきりだった。

やけに外がしん、と静まり返っている。着替えて外に出てみると、その理由はすぐに判った。うっすらと雪が積もっていたのだ。なるほど、ネズミの住処も出入り口がたくさんあるはずなのだが、僕のテント以外は全て雪で塞がれていたのだ。

カイラスは残念ながら厚い雲に隠れてしまっていた。だが僕らの周囲は幸い雲が無くなり、日差しが照り始めた。途端に雪がみるみる消えてゆく。30分としないうちに昨日と変わらない乾いた風景に戻ってしまった。

Kailas2011424s朝食を待っている間、メンバーの一人宮本さんがヨガをやっているとのことで、準備運動と高度順応を兼ねて軽くストレッチの講習をしてくれた。

宮本さんはネパール人と結婚して、ポカラで「マムズガーデンリゾート」というホテルを経営している方なのだ。僕もポカラを訪れる際は必ずこの宿を利用している。居心地の良い場所だ。

朝食を済ませ荷造りをしたらすぐに出発。出発前にカイラスがうっすらと顔を出してくれていた。

Kailas2011small239Kailas2011small240ランクルは段差の無い平らな砂利道を進んでいく。右手は巨大な湖の水平線があり、正面はヒマラヤの巨大な山々が連なっている。後で調べたらナムナニ峰(7,694m)という山だそうだ。

1時間ほど進むと、マナサルワール湖の南端に着いた。湖岸には小さな寺院が見える。トゥゴ・ゴンパというらしい。

車道は湖から少し離れ、西の丘の上に続いていた。登り坂に差し掛かる前に車を停めトイレ休憩。

Kailas2011small244車を降りるとガイドのクンチョクさんが指を指している。見ると綺麗な馬の集団がいるではないか。

なんと野生の馬なのだという。この辺りでは相当数生息しているそうだが、目視で見ることができるのは大変珍しいことなのだそうだ。昨日のカイラスといい、これは幸先が良さそうだ。

Kailas2011small250Kailas2011small251丘の上には小さなタルチョを飾る杭が何本か立っていた。反対側にも大きな湖が広がっている。この湖はラカス・タル(チベット名ランガク・ツォ)といってマナサルワール湖とも繋がっている美しい湖なのだが、現地では悪魔の湖とも毒水の湖、鬼湖とも言われひどい扱いをされている。近くには行かなかったのだが、見たところ普通の綺麗な湖なのだ。

一体どんな経緯でこう呼ばれるようになったのだろうか。恐らく歴史的に何かしら事件などがあったのだろうが、本当に不吉なものが眠っているのかもしれないし、あるいはもしかしたら大事なものが湖底に隠されていたりするのかもしれない、といろいろ考えてしまう。

道は丘を越え、ラカス・タル方面へ降るとすぐに舗装道路に出た。今までの揺れは何だったのかと思うほど、車内は静かで快適な空間に変わった。ここはチベットのはずなのだが、つい日本の車道を走っているような感覚になってしまう。

有難いは有難いのだが、中国がそうしていることを思うと複雑な気持ちになってくる。環境破壊などもこれから増えてくるのだろうか。

30分ほどひた走ったところで、今までの車道から右折し砂利道に入っていった。

Kailas2011small257Kailas2011small255すぐにマナサルワール湖が見えてくる。地図を見ると今朝居た場所の反対側、西側の湖畔に着いたのだ。湖に面した所に、ぽつんと一つ岬のような小さな岩山が見える。岩山の頂には寺院が建てられていた。

Kailas2011small260この寺院はチュ・ゴンパといって、チベット仏教創始者パドマサンババ(グル・リンポチェ)が亡くなる前の7年間を過ごしたとされる洞窟が今も残っている。

道は南側だったが入り口は反対側らしく、ランクルは道から外れ道無き道を寺院を回り込むように登っていった。見晴らしの良い小高い丘に車を停め、チュ・ゴンパへ歩いて入っていく。

Kailas2011small253元は小さかったのだろうが、聖地らしく何度も継ぎ足して建物を建てたらしく内部は迷路のようになっていた。住居らしき建物の隙間を縫うように奥に入ると、右手に小さな洞穴があった。人が5人入れば一杯になるくらいの大きさだ。ここがパドマサンババが過ごした場所らしい。

古い小さな仏像が置いてあったのでお参りをし、彼が残したとされるマナサルワールから持ってきた石に額を当てお祈りをさせていただいた。実際のところどうなのか不明だが、この辺りには聖者の残したとされる石や洞穴が数多くある。

洞穴を後にし、寺院の本殿に伺った。立派な仏陀とパドマサンババ像が鎮座され荘厳な雰囲気だ。僕たちは器に油を満たし紐を入れた簡素な蝋燭に火をともし、一人一人お祈りをした。

Kailas2011small262Kailas2011small252寺院を出ると、眼下にオアシスのような水場と集落が目に入った。なんとここには温泉が湧いているのだそうだ。ちゃんと入浴できる施設も作ってあるとのことで、昼食後に入浴し汗を流すことになった。

パドマサンババも終の住処にこの場所を選んだのは、この温泉が湧いていたからなのだろうか。

昼食は集落の一角にある住居をお借りしていただいた。中は薄暗いがとても暖かい。チベット人も常に厳しい環境に生きているわけではなく、ちゃんと居心地の良い場所も造っているのだ。もっとも、この辺りはまだ裕福なエリアなのだろうが。

昼食後、早速温泉へ。昼食の住居前からすぐ下に降りた川原岸にある。ここで、メンバーの一人に体調不良を訴える方が出た。症状を聞くと高山病の症状だった。

眠気が酷いだけで辛いわけではないそうなのだが、大事を取ってこの方は温泉を控えるようにした。僕も付き添いなので控えることにする。温泉に入れないのは残念だが、安全が第一だ。

入ってきた皆さんの話を聞くと、丁度良い湯加減で浴槽は清潔だったそうだ。ビニールを借りて浴槽に沈め浴槽をコートするようにして入らせるため、浴槽を傷めないらしい。うまく考えたものだ。

僕と一名を除き、さっぱりとした体で一路カイラスへ出発。いよいよだ。

カイラス巡礼は、ここから30kmほど北西へ車を走らせたところのダルチェンという街から始まる。

途中2ヶ所検査站を抜け、2時間ほどかけてこの街に辿り着いた。ずっと綺麗な舗装道路だった。

ダルチェンは何も無いチベット平原に忽然と現れた大きな街のように見えた。メイン通りはそれなりに店があり賑わっている。こんなに多い人々を見るのは久し振りだ。

だが、ガイドブックに載っているダルチェンの地図と比べると、街はまるきり様変わりしていた。大規模な区画整理が進められているらしい。これからダルチェンを訪れる人がいたら、地図は当てにしないほうがいいだろう。

町外れには公安があり、ガイドさんは許可証のチェックをしてもらいに行った。何をチェックしていたのか知らないが、1時間ほど待たされた。聞いたら日程、コースのほか食料までいろいろチェックされたらしい。何をそんなに気にするのだろうか。

とにかく許可が下りたので、いよいよカイラス巡礼の入り口まで出発。本来はこの街から歩き始めるのだが、今回はもう少し先のチュク・ゴンパまで車で向かう。

道は何とか車が通れるが、あまり整備されていない(というか最近無理矢理車道を作ったようにも見える)山道のような荒れた道だ。ランクルやトラックでないととても走れないだろう。

Kailas2011small268荒れた道を進むこと1時間。大きなポールが立ち、そこにたくさんのタルチョがはためいている広場に着いた。

他の聖地でもタルチョを供える場所はあるが、これほど大規模なタルチョは見た事がない。それだけ特別な聖地ということなのだろう。

ここは「タルボチェ」というところで、チベット暦4月の満月の日に、お釈迦様の誕生と悟りと入滅を祝う「サカダワ祭」という祭りを執り行う場所だそうだ。

Kailas2011471s僕たちもここでタルチョを供えた。外は雲行きが怪しくなり、風雪が舞ってきていた。太陽が無いと途端に寒くなる。

再び車に乗り込み奥へと進んでいく。15分くらい走っただろうか、左右には断崖が聳えてはいるが辺りは広くフラットな場所に出た。川原なのだが、丁度小石が堆積してできた広場のようだ。

ここで車は進入禁止。ここからは徒歩で入山する。実質ここがカイラスの登山口だ。
今日はここで宿泊。辺りはすでに雪が舞い薄暗くなってきた。近くにチュク・ゴンパがあるはずだが、この日は見つけられなかった。

Kailas2011small269現地のチベット人が巡礼者のために立てている休憩用のテントの中で暖を取りつつ、軽く夕食を食べて早々に自分のテントに戻りシュラフに入った。川原のため床の石がゴツゴツしていて寝辛かったが、長い1日だったせいか直ぐに眠りについてしまった。

明日はいよいよカイラストレッキングだ。

7日目に続く。

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