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2013年7月10日 (水)

2011年 チベット カイラストレッキング 8日目 カイラス/ディラプー・ゴンパ~ドルマ・ラ

2011年6月3日。

8日目。昨夜はテントではなく、茶店の隣にあった小さな小屋にメンバー全員で宿泊した。

小屋といっても、トタンにガラス窓をはめただけの物置き程度の簡素なものだ。防寒の備えはあるはずもないが、風が防げるだけでもかなり助かる。

朝はかなりの冷え込みになった。昨夜から晴れていたので放射冷却もあったと思う。僕たちのシュラフの表面は、屋内だったにも関わらず霜で真っ白になっていた。

Kailas2011small320Kailas2011small323外を見ると雲ひとつ無い薄暗い空に、カイラス山がくっきりと浮かび上がっていた。これは凄い。朝焼けに映えるカイラスの画が撮れるかもしれない。

この場所は一生のうちにそう何度も来れる場所ではない。眠気と暖かさにかまけてこのチャンスを逃せば一生見ることはないかもしれない。起きなければ。

暖かいシュラフを持ってきたので、着込んでいれば寝ている間は暖かいのだが、起き上がるのはとにかく辛い。体は急に入り込んだ冷気に悲鳴を上げていたが、無理矢理着替えて外に出た。

やはり寒い。辺りはガチガチに凍り付いていて、僕の吐く息が真っ白になって湯気のように立ち上っている。温度計を持っていたので見たら・・・やはりマイナス20℃だった。せめて風が無かったのが救いだった。

Kailas2011small324時間は5時。辺りは徐々に明るくなり始め、カイラスは紅く染まりだした。

20分ほど待っただろうか。太陽はカイラス全体を紅く照らし、まるで真紅の宮殿か巨大なモニュメントのように、カイラスだけを紅く光り輝かせた。

Kailas2011small329僕はしばし呆然と、その姿を眺めてしまった。カイラスは太古より神々が住む山と当たり前のように信じられる程、神々しさに満ちていた。この姿を見ただけでも、ここまで来た甲斐かあった。

Kailas2011small331簡単な朝食を済ませ、出発前にカイラスをバックに記念写真を撮る。7時頃だったがカイラスは真っ白な姿に変化していた。

普通は中腹の黒い岩肌が露出しているのだが、この日は前日までの吹雪でこうなったのだそうだ。この姿もまた神々しく迫力がある。

カイラス山全体が雪や氷で覆われたので、先程は余計紅く映えたのだろう。聖地で使う言葉かどうか微妙だが、「運が良かった」と思う。

出発してすぐに、何とパワーショベルの重機が止まっていた。この辺りまで観光用の道を造るつもりらしい。

しばらく動いていないようだったが、予算が出ればすぐ動き出すだろうとのことだった。できればこのまま出ないでいて欲しいものだが。

Kailas2011small334出発して1時間。凍りついた小さな橋を渡り、雪原の道は登り坂になっていった。それまで日陰で寒かったが、この辺りからようやく陽が差してきた。途端に暖かくなり、快適に歩けるようになる。太陽は偉大だ。

雪は結構積もっていたが、新雪だったのでアイゼンが無くても歩きやすかった(勿論用意しているが)。

Kailas2011small343Kailas2011small346周囲は雲ひとつ、霞ひとつ無い大快晴。こんな日も珍しいんじゃないだろうか。

手前の山の右側にあったカイラスが左側に見える頃に小休止。

僕は昨日と同じく先に歩いて出発していたのだが、後から来るはずの馬に乗ったメンバーがなかなか来ない。

Kailas2011small349追いついたのは15分くらい経ってからだった。聞くと先程の凍りついた橋で馬が怖がってしまい、なかなか渡れなかったのだそうだ。

確かに滑りやすかった。仕方ないので一旦降りて歩いて渡ってもらい、馬だけで引っ張って引き寄せ渡らせたらしい。

雪の中を進むことはあまり無いらしく、結構手間取っているようだった。

Kailas2011small338早く目的地まで行ってしまいたいらしく、僕たちの荷物を積んだヤク一行が前を通り過ぎていった。

先程の凍った橋がきっかけなのか判らないが、一匹暴れ馬が出てしまったらしい。それまでこの馬に乗っていた人は、危険なので万が一のために余分に借りておいた別の馬に乗り換えたのだが、当然この馬が余ることになった。

しかしこの馬分の代金は支払っているので暴れ馬くらいでは勿体無いという話になり、どういう訳か僕が乗ることになってしまった。なんで?

一息ついたところで出発。実はまともに馬に乗ったのはこれが初めてだった。

初めての乗馬が暴れ馬というのも酷な話だが、乗ってみたら案外振り落とされることも無く多少バランスに気をつければ乗っていられないことはないくらいのものだった。まあ他の馬に乗っていないので麻痺しているだけなのかもしれないが。

Kailas2011small350Kailas2011small351すぐにテラス状になった突端の手前で傾斜がきつくなり、そこを登りあげると足跡もまばらな広大な雪原になった。

地図を見るとこの辺りが鳥葬場らしい。もし雪が積もっていなければ、人骨など転がっていたのだろうか。

Kailas2011small352振り返ると誰もいない。僕だけどんどん進んでいってしまったらしい。

暴れ馬らしく僕はバランスを取るのに必死で、後ろの事など構っていられなかった。

Kailas2011small354他の馬に影響を受けさせないための措置かもしれないが、このペースからして確かに暴れ馬のようだった。

ちょっと寂しい感じだが、一人旅のようで何となく気持ちが良い。カイラスは手前の山に姿を隠し、道はだんだん険しくなってくる。高度も急に上がり、流石にこの乗り難い馬の背もきつくなってきた。

しかし何度か降りてみることも考えたが、この高度で雪の中、この傾斜の坂を登りきるのは、それよりもきついだろうと思い留まった。

ずっと通しで歩いていたら体は慣れるだろうが、いきなりでは流石にハイリスクだ。

Kailas2011small360Kailas2011small384ちょっと我慢して馬の背に文字通りしがみ付きながら、峠への最後の難所を乗り切った。

ネパール時間で10:00、今回の旅での最高地点、ドルマ・ラ(5,668m)に到着した。

Kailas2011small358Kailas2011small382着いた頃は後続の皆さんは遥か彼方だったが、みるみる近くなり、20分もすれば皆さん元気に到着されていた。やはり馬は速い。

この峠越えは、今考えると本当に奇跡のような行程だったと思う。

前日まで吹雪だったため、他の外国人パーティーは登山口(チュク・ゴンパ)で引き返していたのだそうだ。

僕たちが歩いたこの日は運良く快晴だったうえ新雪だったため歩きやすく、降雪がある日ではとても珍しかったらしい。

さらに次の日になってしまうと、解けた雪が氷結し滑りやすくなってしまうので非常に危険だった。

まさに間を縫うように、この日だけ、ベストタイミングで峠を越えられたことになる。

さらに驚くのは、一緒に旅した方の友人達が集まって、日本で旅の安全をお祈りしてくれていたそうなのだが、なんとお祈りした日が丁度この日だったそうなのだ。

世界一の聖なる山だけに、こういったこともあるのかもしれない。

Kailas2011small367Kailas2011737smallみんな揃って一息ついた後、揃って記念写真を撮りお祈りを捧げる。結構積雪があったので、タルチョを張るのに手間取ってしまった。

Kailas2011small368Kailas2011small377そこにチベット人の女性が、雪の中を五体投地で登ってきた。前掛けを付け両手にも靴を履き、解脱を信じて冷たい雪の中を黙々と進んでいる。流石にサポートしている人が2人付いていたが、それでもこの過酷な場所で目にするのが信じられない光景だ。

Kailas2011small366Kailas2011small381僕らは予め用意していたサンドイッチとチャイで簡単な食事を取り、11:00には峠を出発した。

降りは比較的傾斜のある岩場がしばらく続いており、流石にここは馬では降れず全員徒歩で降った。足の悪い方がいたので、ガイドさんがゆっくりとサポートしながら降りていく。僕達もそれに続いて慎重に歩いた。

Kailas2011small386すぐ下のほうに、幅50mくらいの湖らしきものが見えてきた。氷と雪で覆われていたのですぐには気付かなかったが、近づくにつれ明らかに湖だと判った。

チベット人のガイド、クンチョク君が言うには、ここはグリーンターラーが住むとされている「ヨクモ・ツォ」という湖だそうで、ここがシャンバラの入り口の一つではないかと言われているそうだ。

Kailas2011small387_2「シャンバラ」とは古いチベットの古文書にも出てくる黄金郷、理想郷のことで、アトランティスやムー大陸と並んで幻の都の一つとされている地だ。

その古文書には子供(観音菩薩の化身)が出てきてシャンバラへと案内する、と書かれていて、最近チベット人がこの湖で子供が現れ消えていった、という目撃証言があったのだそうだ。

本当だとしたら凄い話だ。近付いてみたが、雪と氷と崖の斜面でとても湖面までは行けなかった。もし雪のない時期に行けたらぜひまたここに来てみたい。

Kailas2011small385Kailas2011small388湖を過ぎたあたりからなだらかな斜面になり、雪原の中を気持ちよく歩いた。

右手の断崖の上には包丁型の岩が乗っているのが見えた。これは鬼があの世で罪人の首を切る包丁なのだそうだ。この辺りも曼荼羅に例えた何か意味のある場所なのだろうが、雪に覆われていたし、詳しくは判らなかった。

Kailas2011small389Kailas2011small390雪原の先端まで来ると、また急な斜面になり先にうっすらと緑が広がる川原が見えた。この辺りから雪はだいぶ無くなってきたが、足元に少し残っていて滑りやすかったので慎重に降っていく。

ゆっくりと歩いたので15:00頃にキャンプ予定地に到着した。普通の足ならば14:00前には着いていると思う。

Kailas2011751smallこの日のキャンプ地は小川に沿った日当たりの良い開けた場所で、とても快適に感じた。過酷な場所からの開放感や峠を越えた安心感などがあったからかもしれない。

9日目に続く。

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